その男がやって来たのは、どーでもいい、嵐の夜だった。テレビやラジオ、マスコミ連中がこぞって、「史上最大規模の大型台風の襲来です。くれぐれも、不要・不急な外出は、お控えください」と警告を発していたにもかかわらず、その男は“のほほん”と現れた。
「オーナーねえ、あと10日たらずで給料日ですけど、今月こそ、大丈夫なんでしょうねえ?
…オーナー?
あれ?さっきまで、みんなとババ抜き(トランプ)に昂(こう)じていたオーナーは?」
「あれ?ガ~マちゃん(賀真 仙人:がま せんと)、メートル・ドテル(総支配人の補佐役)のくせに、オーナーは、お腹(なか)下(こわ)してトイレに閉じ籠(とじこも)っているの知らないんだ?」
「メレンゲの泡立てが安定しないパティシエの曽宇 加奈(そう かな)ちゃんに教えられちゃった…オジサン、まいった、まい・っ・た♡」
「ソムリエ(ワイン担当)の江須 帝王(えす みかお)が、ガルド・マンジュ(食材担当)の波亜 都(なみあ みやこ=ミャー)ちゃんの腹話術に操られて木偶の坊(でくのぼう=人形)みたいにクチパクしてんじゃねぇーよ、キショーメぇー!
プロン・ジュール(食器・皿洗い)のJO!姐さんならともかく、どうして『世界を渡り歩いて来たワンダラー(彷徨い人:さまよいびと)』が、年端(としは=若い)もいかねェ女の子に、簡単に手首ひねられちまうかな…みっともねぇ!」
「そう申されましても…木下(きの)さん。かつて私(わたし)がお仕(つか)えしておりました、エジプト王朝の仕来(しきた)りでは、『老いたら若い娘に従え』と云う格言が御座いまして…」
「何それ?『エジプト王朝』って、いつの話なの」
「これは、これは。調理責任者の丹波シェフ、御機嫌(ごきげん)麗(うるわ)しゅう…」
「オーナーが勝手に頭下げて変(おかし)な男を連れて来たから、2日も寝てないのよ?御機嫌、麗しい筈(はず)ないじゃない。
それより、王(お)っさんって、何歳(いくつ)なの?」
「なんでも、実家(家)が裕福なのか、貧しくて口減らしのためなのかは知(わか)らないっスが、『世界を放浪していた時期(とき)、その名前からSTO(エス・ティー・オー)と、呼ばれていた』そう、っス」
「コミ(平の給仕係り)で雇われたばかりのくせに、よく知ってるじゃねェか。えっ、栃木県民とは書かずに、『健康な睡眠』と書いて、『栃木 健民(とちぎ たけたみ)』と強引に読ませる、蕎麦屋潰(そばや くず)れ」
「木下(きの)さんだって、お爺さんの代から続いてたモンジャ焼き店(や)を、趣味の楽器屋に換えた途端に倒産(つぶ)した『楽器屋くずれ』っス!」
「まあ、まあ。店(ここ)にいるスッタフ(みんな)は、前職やりながら音楽活動やらない関西在住の保育所所長のブログ繋(つな)がりで知りあったはいいが、横浜から七沢(ならさわ)へ追放されたことでも分かるように、人間的にヨロシクない性格のオッキーナに騙(だま)されて、音楽(バンド)に手を出したがために喰いっ逸(ぱぐ)れた音楽ゴロなんだから、仲良くやりましょうよ」
「バルマン(ワイン以外の飲み物を扱うバーテン)の、“上から読んでも下から読んでも同じ名前”が特徴的な桐野 理季(きりの りき)さんに云われると、スンゴイ説得力よね♡」
「だあからぁ~、俺(ひと)の体(クチ)を無断で使って、アニメ声で話させるのはやめてくんねェかな~!
下町生まれで山の手育ちなのに、埼玉県民になった“元祖・江戸っ子”のオーナーと違い、俺(おりゃ)ァ、月島のモンジャ焼きから始まって、3代続いた列記(れっき)とした江戸っ子でぇい。
背筋に虫唾(むしず)が走るような甘ったるい声、発(だ)された日にゃあ、見たこともねぇだけに会ったことも話したこともねぇ御先祖様たちから袋叩きにされちまぁ!」
「3代続いた江戸っ子も、生業(なりわい)潰しちゃあ形無しだな」
「お、オーナー?いつから聴いてらしたんで?!」
「副料理長(木下=おまえ)が『売れもしないバンドの為に、むりくり地元のテレビ局や有線放送にコネを作ろうとして、店の売り上げに手を付けた』場面(とこ)からだよ…痛(いて)ててて」
「ふへッ?そんな場面あった、っス?」
「バカだなコミ(おまえ)は。作者の手間を省(はぶ)かせるために、気を利(き)かしてやっただけだ。
飲食店という接客業の世界で生きて行くつもりなら、それくらいの気を働かせないと生(や)って行けないぞ」
「勉強になります。意地汚(いじきたな)いオーナー」
「シェフ…『意地汚い』だけ、余計だ!…いててて…誰か薬持ってないか?」
「飲食店を志(こおろざ)した人間が胃腸薬(お腹の薬)持ってる筈(はず)ないでしょ♡」
「だからぁ…私より1個上の木下(あなた)が、どうして容易(たやす)く小娘(波亜 都)の誘いに乗せられなきゃならんのだ。いてててて…」
「あ~あ、だから、言ったのに」
「シェフ。これからは『食べた後』より、『食べる前』に、忠告(い)ってくれないか。それと、夏場は腐(いた)みやすい調理(モノ)をしないように。…て、て、て、て、て」
「オーナーねえ…常識人として、これからは『食べる前に』訊(き)いてくれないかな~。だいたい、オーナーも料理人(キューイジーヌ)でしょう?
料理音痴の人でも、匂いを嗅(か)げば解りそうなものですけど~♪」
「俺は過去を振り向かない主義なんだ…って・てててて。
おい、誰か。足を、思いっきり、踏んでくれないか」
「謎の怪覆面STOとして、アメリカのマット界を席巻(せっけん)した私でよろしければ…」
「江須さんはいい。身体(がたい)が良過ぎる。ワイン蔵(地下)で、ワインの勉強をしているように。
他に誰か立候補する人(やつ)はいないか?
大事なリーダー(オーナー)が食中(あよくあたり=腹を壊:こわ)して苦しんでるんだぞ…薄情なスタッフ(やつら)だ。て、て、て、て、て」
「足を踏ませて、どうするJO?」
「理季ちゃん分かっちゃった♡慰謝料を請求しようとしているのだよ♡」
「“上から読んでも下から読んでも桐野 理季(きりの りき)”ちゃん…都(ミャー)はさっき、トイレへ行った。
…下手な物真似(芸)は身を滅ぼす因(もと)だ。芸は、もっと磨き上げてからするように。
さあ、遊んでないで、開店準備(仕込み)を始めてくれ…て・て・て・て、て」
「これは脚(あし)!こっちが、手」
「シェフ。お言葉では御座いますが、豚足(とんそく)に手も足もないのでは?」
「木下(ワー)さん。アタシが来てから、何日、副料理長(スーシェフ)してんの?
中華料理で『紅焼熊掌(ホンシャオシュオンジャン)』として珍重されている熊掌(ゆうしょう=くまのてのひら)は『蜂蜜を採る右手が美味しい』とされてるじゃん」
「御立腹されるとは思わなんだ…しかしですね。
左利(ひだりき)きの熊と、両手(=両刀)使いの熊。あと、足癖の悪い熊の見極め方を教えてください」
「木下(きのした)ぁ!」
「ご~めんなさい、ごォおメンナサイ!」
「Go(ゴー=O.K=了承)サイン出たぞ」
「さっそく、吸収合併(乗っ取り)工作、行っちゃいますか」
「関東進出(新店舗設立)には経費が要(か)からない“居抜き物件”が、セオリー(道理=正解=お約束)ですからね」
「せやな。ほいやき、顧客の着(つ)いてのう(ない)潰れそうな店で、尚且(なおか)つ、キレイなら云うことなしや!」
「梨の季節が過ぎてリンゴの時期になる前に、条件にピッタリな店が現(みつか)るとは…なし崩し的な展開ですが、助かりましたね」
「せやな。さっすが、銀行さんや。貸し剥(かしは)がしの悪評を覆(くつがえ)すために、わざと融資を断(ことわる=渋:しぶ)って、相手に泣きつかせるやなんて。
メッサ面白(おもろ)い手段(方法)考(ひね)り出しまんなァあ。
御先祖様は悪代官様やろ?」
「お人聞きの悪い…当行(うち)は備前屋さんとも、越後屋さんとも面識は御座いません。ご心配なく」
「御心配なら、お医者に行(かか)られてはいかがですかオーナー」
「心配してくれるのはメートル(総支配人の補佐役)、賀真(あんた)だけだよ、ガ~マちゃん…ありがとう。
…て、て、て、て・て」
「あっ、オーナー。そこは、脚です」
「なんだと?」
「いえ、いえ、そんなぁ~。『お礼に、私だけ給料を上げてくれ』とは言いませんから、御心配なく」
「わかってる」
「っち!解られちった…」
「何か言ったか?」
「いえ。病状が悪化して、『わぁ、枯れちゃった』とならぬよう、気を付けてくださいね、と」
「その前に舌打ちしなかったか?」
「お、オーナー。極度の腹痛が幻聴にまで発展されてしまいましたか?おいたわしや…」
「誰に向かって、『オイ、タワシや』などと、関西弁で命令してるんだ。いつから関西人になった。
えっ?聞き間違いも幻聴も、腹痛のせい?
そうか、腹痛のせいか…。
いや、な。足を踏ませて、踏まれた(そ)の痛みで気を紛(まぎ)らわそうとしたんだが、踏ませないでよかった」
「あったりまえです、オーナー。『それは無謀を通り越して無茶』って、もんです!」
「無謀も無茶も同じようなものだと思うが…まあ、いいや。
いずれにしても、店が大変な時に、八ヶ岳に行っちゃあ、著名人と会ったり、下手なくせに映画と同じ白いピアノがあったからって、ジョン・レノンのイマジンを披露した自慢話を延々と繰り出して来る、音楽活動を全くしないくせに『シンガー・ソング・ライター』を名乗る保育所長みたいに、休んでなんかいられるか。
スタッフ(みんな)だって、2日も徹夜してまでメニュー開発に頑張ってくれているんだ。
こうなったら、オムツをしてでも店に出るからな。いてててて…」
「頭(オツム)まで変(おかし)くなっちゃいましたか…オムツはやめられた方がいいんじゃないかな。匂(にお)っちゃいますから」
「そうか?パンツに消臭剤、挟(はさ)むっていうのは、どうだ?」
「それも中途半端に下半身だけ肥大した、どこぞの保育所長みたいですから、いかがかなと」
「そうか?向う(あいつ)は、身体(からだ)全体がパンパンに腫れあがってたはずだったが…じゃあ、何か、いい方法(て)は…ご、ごめん。トイレ行って来る…尾(つ)いて来るなよ」
「『一緒にトイレへ入ってくれ』と云われても、のせられませんよ」
「トレイ(食器を載せる盆)に乗せちゃおうか?それとも豪快に、グリルを客席(ホール)に置いて丸焼き、どうかな?」
「丹波(シェフ)。子豚とか仔羊、っス?」
「ノン、ノン」
「目の前で人差し指を振られると眩暈(めまい)する、っス」
「1日一人か二人の客入りから考えれば、カエルかハト…インコ、って具合(とこ)かな。いくらなんでも、スズメって、こたあないよね?都(ミャー)ちゃん」
「それは全部(みんな)、顔(頭)を落とすの♡」
「操られているとはいえ、コミの分際(くせ)して、いいツッコミ挿(い)れるじゃない~♪」
そうなんだよな…アタシは目が付いてる肉は気持ち悪くて捌(さば)けないんだよね…ワーちゃん!スー・シェフ(副料理長)なんだから、アンタ捌(や)んなよ」
「勘弁してくださいよ~!自慢じゃねぇーが、江戸っ子は、血と臓物が大の苦手なんですって!?今まで、魚は開きや刺身(さしみ)、他の肉はブロック以外は仕入れて来なかった経緯(けいい=理由)を忘れちまったわけじゃねぇーでしょうねえ」
「そうか、気を衒(てら)った創作料理はダメか…『血と臓物がダメ』って…フランス人は臓物だって食べちゃうんだよね?
確か、愛読書にしてるグルメ本に書いて…あった![]()

ほら、ほら…なんてたっけぇ…ピーマンなんかの野菜に、挽き肉なんかを詰めて焼いた肉詰め…ファール?」
「それは野球っス」
「ウイルス?」
「キショーメぇ~!食いもの屋に来たお客さん、病気にしてどうすんでぇ?!」
「ファイルスだっけ?」
「切抜き記事や書類、保管してどうすんのカナ!」
「パルス…?」
「心音(しんおん=脈拍)測(はか)ってどうするのキリ!店(ここ)、病院?」
「あ~んッ、お酒注(つ)ぐだけの、バルマンにも馬鹿にされちったぁ~!もう誰か気分治しにハッカ飴のフォール…あっ!?ファルスだァああ♬
ほら、ほら、ほうらァあ~!
仔牛の胸腺(きょうせん)肉は Ris de Veau(リ・ドゥ・ヴォー)でしょ。でもって同じ仔牛の賢臓が Rognons de Veau(ロニョン・ドゥ・ヴォー)。有名どころじゃア鵞鳥(がちょう)の肝臓 Foie Gras d'Oie(フォアグラ・ドワ) / Foie Gras (Goose:グース=鴨:かも)があるしィ…他にも羊の胃に種々(いろいろ)な詰め物をしたtripous、tripoux(トリプー)だってあるじゃんよォ~♬」
「…おおッ!そういえば、胃を具材にしたソーセージ(andouille
andouillette)も御座いますね!
たしか…フランスはパリのベルサイユ宮殿のバラ園で、古(いにしえ=とき)の女王マーガレット妃に御馳走されたとき『豚の腸に、豚の腸や胃・喉肉(のどにく)・バラ肉などを詰めたもの。大腸に詰めた太い料理(もの)が[アンドゥイユ]で、小腸に詰めた細い料理(もの)は[アンドゥイエット]だ』と、教わった記憶が御座います」
「STOっさんて、何歳(いくつ)なの?いつの時代の人間(ひと)なの?!」
「パティシエの加奈ちゃんの疑問も尤(もっと)もだけど、今は“疑問(それ)”どころじゃないの!
作り方とか覚(おぼ)えてない?ねっ、STOっさん?!」
「『オッサン』というのが引っ掛かりますが…まあいいでしょう。憶(おも)い出してみせましょう…チチンプイプイの、プイっ!」
「本気(まじ)っス…リアルに説得力ない男(ひと)っス」
「ソムリエ(この人)に説得力、求めちゃいけないって知(わか)ってんだけどね…」
「知(わか)ってんだからさあ…何もトイレのドアをドンドン、ドンドン、叩かなくてもいいじゃないか」
「オーナー。のんびりと腹を下(くだ)している場合じゃありませんよ!この台風警戒とは名ばかりに、穏やかに蒸し暑(むしあつ)い天気の中、物好きな客がやって来ましたよ~ッ!?」
「お客の一人や二人…総支配人の補佐役たるメートル・ドテルの賀真(おまえ)が相手してやればいいじゃないか…寅(こっち)は今、客(それ)どころじゃないんだ。
違う意味での客(=大便)が腹ん中で、クレーム(大騒ぎ)つけてるんだから!いてててて…」
「分かりましたァ、じゃあ、ここは賀真(わたし)が仕切らせていただきます!あとから出て来て邪魔できないように、モップで痞(つっか)え棒しときますから、心置きなく、気張っててください」
「お、オイ、待て。俺は子供の頃から閉所恐怖症だって知っているだろ?!開けろ、開けてくれーッ!あっ、力(りき)むと出る…出たいけど出られない…狭い・暗い・怖い…けど、焦(あせ)ると出ちゃう…いてててて」
「(スキップを踏みながら)…てててて、って。ッと♪いらっしゃいませ、レストラン『ラ・ガップ(L'AGAPE)』へようこそ…って、なんだぁ~っ?昨日のデブ予備軍じゃないかァああ!
相方の汚い髭面メガネ親父(オヤジ)はどうした?まだ懲(こ)りないんだ…あっ、そうか。また無料(ただ)飯に預(あや)かろうってぇ魂胆(こんたん)だな?サモシイ男(にんげん)だなあ…そんなだから、自主製作のCDが売れない神戸は宝塚の保育所所長と似てくんだよ!
店(うち)はレコードの時代から、ドレス・コード(ネクタイとジャケット着用)のある、とてつもなく変わった創作料理店なんだ…って、このクソ暑いのに高そうなジャケット(おべべ)着てるじゃない…パクリ?それとも中古?倒産処分品(バッタもの)だあ?!
まあ、いずれにしても、カウボーイみたいなテンガロン・ハットが目障(めざわ)りだから“アウト”だね。
『(帽子を)脱(ぬ)げばいいんやろ』って?
じゃ、じゃあ、じゃあさァ…あれだ、これだ…それだァ!
う、店(うち)は…お一人様拒否の店なんだよ!
『いつから』?
たっ、たった今から!総支配人の補佐役たるメートル・ドテルを拝領する私(わたし)の裁量で決めたんだ。
分かったら帰ってくれ。それでもって2度と来ないでくれないかなぁ。その顔と体型と、なにが原因で離婚した知(わか)らないが、薄くなった髪を必死に隠そうと不似合(そぐわ)ないメッシュ染め(カラースプレー)にしたプクプク面(づら)を見たくないんだよ!!
な、なんだって?『昨夜(ゆうべ)トイレの個室に忘れ物をした』だって?何処(どこ)のトイレ?奥から2番目…あ、あっちゃあーッ!よりによって、どうして、間の悪いことをしてくれるかなァあッ!いま、オーナーがお腹(なか)を下(こわ)して使用中だから、もうチョッと待ってろ。
なにィ?『腹が減ってるから一万円(これ)で食べさせてくれ』だってェえ?!
『ボ、ボクは、おにぎりが好きなんだな~!』とか云われても、店(うち)はフレンチだからな…まるで、同じ休暇地にしか行ってないのに『放浪のシンガーソングライター、松本清です!』とほざいた後に『って!あのドラッグストアの?』などとボケてみて、『あれは、マツモトキヨシでんがな~!』などと、自嘲気味に自爆的なツッコミを挿(い)れ、『極端な話、おにぎりと沢庵(たくあん)さえあれば文句を言わん、手間のかからん男、マツノリでんがな~!』と能天気に面白くもない文章を、明るく続ける『陰湿なプクプク王子』そのものだ…。
しょうがねぇえなァあ、音楽活動もしないくせに西洋風味の服装(おべべ)着て、のんびり八ヶ岳なんぞで静養して来やがって…へ?『木(ワテ)やない。“本”の男(ひと)や』だって?
まあ口先だけで行動力の欠片(かけら)も体力ないから、金にモノ言わすことしかできない還暦プクプク野郎つながりで、同じような生き物(モノ)だろ…今、シェフに訊(き)いて来てやるから、適当に座って待ってろ。
…あっ、オリジナル曲だけは歌うなよ」