『埼玉県にある』と云われ、何処にでもありそうな店のくせに見つけられない、妄想上の“フランス料理風”創作料理の店、L'AGAPE(ラ・ガップ)。
店(そこ)で働くスタッフ(人々)は、個性ばかりが強くて、実力(実=まこと)のない職人ばかりだ。
横浜の山手(やまのて)生まれ、裕福な家庭に育ったJO!姐さんは「苦労という経験(モノ)を味わってみたい」と、JK(女子高生)時代にギターを教わったサンズイに青い水と書いて『オッキーナ』と強引に読ませる、身体が大きいだけに態度も顔も大きな?ヤサグレ男と、肩書だけはシンガー・ソング・ライターだけど、その実態はCD(それも自費制作のミニアルバムとマキシ・シングル)を2枚発売しただけで、積極的に音楽活動もブログの更新さえしない(最近では改心して頻繁に行っておるようだが、それとて過去記事や他人様の宣伝などで、とても自分の音楽活動に直結する内容とは思えない)『イヤなことは絶対にやらない。なぜならば身体(からだ)に悪いから』と言い放つ、保育所経営者のブログを通じて再会してしまったのが運の尽きだった。
音楽関連の会社を営む親の伝手(つて=縁故:えんこ)で決まっていた就職を棒に振ってまで、『東京にある』というだけで詳しい住所も名前も明示できない、怪しい中年男のスタジオにスタッフとして就職してしまったのだから信じられない。
しかも、無責任で鳴るオッキーナとスタジオのオーナーは、「放任主義」を楯(たて)に、よく言えば放任主義―悪く言えば、完全野放し主義を貫いた。しかして、その実態は―何の手も貸そうとしない“事勿(ことなか)れ主義”なのだから堪(たま)らない。
関西は知らないが、(まあ、ほとんど関東と同じだろうが)、東京では芸能事務所に所属していなければ、芸能関係の仕事に就くことはできない。そして、芸能事務所に入る=何処かの芸能スクールに入る、ことになる。これがバカにならない、から大変だ。
オーディション費用に入学金(『研修生だから契約金を払うのが当たり前』という不条理な条件を呑まざるを得ない)、宣伝写真(白黒の場合もある!)、アンケート、月1あるかないかの交通費で赤字になるエキストラの仕事(しかも、大半が事務所にピンハネされている!)…それ以外にも世間一般で云われている“あんなこと”や“そんなこと”までやらされるのだ。「こんなヤクザな世界に、誰が未練などあるかい」と、キッパリ、スッパリ足を洗う決意をした時のことだ。
かつて誰かが云っていた通り、「人生に悪いことばかりが続く、わけがない」ことを経験する。図体ばかりがデカくて口も悪いけど心根はもっと腐っている、オッキーナがスタジオのオーナーを言い包(くる)めて、無料で行っていたスタジオライブを観覧していたアメリカの芸能事務所社長の目に留まったのだ。彼女いわく、「その後の打ち上げで、飲み負かして一切の費用を払わされた腹癒せに、人身御供にされた」らしいが…カンザスかボストンだかのライブハウス巡業(じゅんぎょう=ツアー)に出かけたり、大手レコード会社と契約したり(どんなことかは明示できないんだな、これが!)で、人生を謳歌(おうか=楽し)んでいた。
そう、たとえ未来は暗くとも、瞬間(いま)が楽しければいい、刹那(せつな)主義で能天気な、楽天家―もっと言えば“極楽トンボの”お気楽娘、なのである。まるで宝塚在住の、どっかの誰かさんみたいだ。って、痛い!叩(はた)くなよ!?