チャッとストリーム⑲

 

 

　デンマークの森のオータム・ハウスで、白夜の恋が眠ろうとしない。
　寝室のカーテンに透（す）けている戸外の明るさは、飲み残しのワインが薫（かお）る部屋から、時間を消し去っている。恋人たちは､また服を着て
花咲く夜の道へ出て行くだろう。
　白絹をかけて､遠く白い眺めは、疎（まば）らな針葉樹の丘の向こうに､湖の光沢を覗かせている。白夜送りの篝火（かがりび）が燃える野もあるだろう。
　火を放たれて､湖に置かれた筏（いかだ）もあるだろう。
　その赤い火が､白絹の一点を焼きつくして恋人たちの胸に燃え、北国の短いも美しく燃える秋を祝うというのだ。