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Channel: 新・イメージの詩
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死ぬか生きるかの危機意識②

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  これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
 実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。
 下記に関連書籍青文字クリックで全文が通読できますを、無断転載させていただきましたので、よろしければ御参考までに、お読みください。
 
 (故マックス・ゲルソン 著)
 (故マックス・ゲルソン 著)
 (マックス・ゲルソン博士の3女が記した本)
 (ゲルソン博士による、ゲルソン療法により完治した患者へのインタ ヴュー
(5生存率0%の大腸ンから肝へと転移した医師、星野仁彦:著)
 (日本人だけなぜ、がんで命を落とす人が増え続けるのか―化器科の 権威がすすめる驚異の栄養・代謝療法
  (済陽高穂 
  (済陽高穂 
 (済陽高穂 
 (日本におけるゲルソン療法実践医師による対談・比較集)
 (2冊とも星野先生が実践された中野良一医師の著作)
 
抗がん剤治療では治らない!」――現役の医師が生き延びるためにまずしたこと、それは抗がん剤を拒否することだった。 大腸がんを患い、肝臓への転移が見つかったとき、突きつけられた数字が「5年生存率0%」。この数字は病院のいかなる治療を受けても、5 ...
 
 
 
 
 
 あるパーティーに参加した私(星野)は罪悪感に包まれながら、自宅の前でタクシーを降りた。また、酒を少し飲んでしまったから、である。精神医学を探求して来た男が、なんと精神的に脆(もろ)いことか。つい食事制限を緩(ゆる)めてアルコールを口にする。そして、後悔する。私(星野)はタクシーの中で、ゲルソン療法3年間を思い出していた。そして積み重ねて来た努力が水泡に帰す不安に恐れ始めると、二人三脚で私(星野)を支(ささ)えてくれた妻の悲しそうな顔が浮かんで来た。
 (情けない精神科医だ)
 私(星野)は後悔で重くなった身体を引き摺(ひきず)るように自宅に入って行った。
 「おかえりなさい」
 妻は居間でお茶を飲みながら、私(星野)の帰りを待っていた。私(星野)は妻の顔をまともに見ることが出来ずに、キッチンに入り、コップ1杯の水を飲みほした。振り返ると妻が私(星野)をジッと見ている。私(星野)は思わず目をそらした。
 「何かありましたか?」
 私(星野)の挙動不審(きょどうふしん)な行動を見れば、当然の質問だった。返す言葉がすぐに浮かばなかった私(星野)は、手に持っていた空(から)のコップに目を落した。
 「お酒を少し飲んでしまった」
 この期(ご)に及んで嘘をついても仕方がない。私(星野)は済まなそうに言いながら顔を上げた。以外にも妻は嬉しそうな表情を浮かべている。不思議だった。妻は悲しい表情を浮かべるモノだと思っていたからだ。
 「久しぶりだから、美味しかったでしょう」
 この言葉は、さらに意外だった。妻は私(星野)を、まったく咎(とが)めようとはしない。それどころか、誘惑に克(か)てなかった私(星野)の行動を容認してくれたのである。
 「美味しかった、で、いいのか?」
 「美味しくなかったんですか?」
 久しぶりの酒は、たしかに美味しかった。「五臓六腑(ごぞうろっぷ)に染み渡る」とは、こういうことかと思えるほど、私(星野)の身体はアルコールを歓迎した。あの感覚は、(2005年の)今でも思い出せるぐらいである。だからといって、この調子で誘惑に負け続けていたから、ガンを再発させる身体に戻ってしまうのは目に見えていた。
 「私(星野)は弱い人間だ」
 私(星野)は溜息(ためいき)まじりに、そう呟(つぶや)いた。
 「だったら、今月は、もう、お酒は禁止しましょう」
 妻の言葉に私(星野)は罪悪感から逃れたような気がした。そして、あることに気付いた。私(星野)はいつしか、自分1人でガンと闘っている気になっていたようだ。しかし、ガンになってからずっと、私(星野)の横には妻がいた。私(星野)と同じ食事を摂(と)り、私と同じようにツラい思いをして来た妻がいた。いや、私(星野)よりもツラい思いをしていたかも知れない。
 私(星野)1人で誘惑に克てないことは明白だった。しかし妻と一緒なら勝てる。そうやって3年間、厳しい食事制限を守って来たのである。
 「今月は禁止、か」
 「はい。ちゃんと私がチェックしますからね」
 そう言いながら微笑む妻を見て、その存在の大きさに胸が熱くなった。
 それからパーティーや宴会に参加する日は、私(星野)が帰宅すると、妻は玄関まで出迎えるようになった。その場で酒を飲んで来たかどうか、チェックをするためである。
 「息を吐いてください」
 そういう妻に向かって、私(星野)は息を吐き出す。匂いでチェックをするというわけだ。アルコール漉きの私(星野)は多少、飲んでも酔ったりはしない。表情も変わらない。チェックするためには吐き出した息を嗅ぐのが一番、だったのだ。
 「飲んでないですね」
 「今月は禁止だろ?飲むわけがないよ」
 「そうでしたね」
 妻は確認が終わると、私(星野)のバッグを抱えてクルリと背を向けて、キッチンに歩いて行く。
 飲むわけがない、という言葉は私(星野)の強がりだった。飲むわけがない酒を飲んでしまったのは、私(星野)なのである。妻の厳重チェックをかいくぐることは不可能だと思った。
 (これで2度と、コッソリ飲むことはないな。さすが私(星野)の妻だ)
 そう思いながら、靴の紐をとき始める私(星野)は心の中で妻に感謝した。

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