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Channel: 新・イメージの詩
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大粒の涙③

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    これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
 実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。
 下記に関連書籍青文字クリックで全文が通読できますを、無断転載させていただきましたので、よろしければ御参考までに、お読みください。
 
 (故マックス・ゲルソン 著)
 (故マックス・ゲルソン 著)
 (マックス・ゲルソン博士の3女が記した本)
 (ゲルソン博士による、ゲルソン療法により完治した患者へのインタ ヴュー
(5生存率0%の大腸ンから肝へと転移した医師、星野仁彦:著)
 (日本人だけなぜ、がんで命を落とす人が増え続けるのか―化器科の 権威がすすめる驚異の栄養・代謝療法
  (済陽高穂 
  (済陽高穂 
 (済陽高穂 
 (日本におけるゲルソン療法実践医師による対談・比較集)
 (2冊とも星野先生が実践された中野良一医師の著作)
 
抗がん剤治療では治らない!」――現役の医師が生き延びるためにまずしたこと、それは抗がん剤を拒否することだった。 大腸がんを患い、肝臓への転移が見つかったとき、突きつけられた数字が「5年生存率0%」。この数字は病院のいかなる治療を受けても、5 ...
 
 
 
 
 
 「何しているんだ。先に行くよ」
 「待ってください。すぐ行きます」
 ほどなくして妻は現れ、いつもの朝の散歩に出かけた。いつもと変わらない歩幅。先に行きたがるオーニーをなだめて、春めいてきた空を仰(あお)いだ。澄んだ空気が心地よい。散歩コースの農道にはところどころにヤマザクラが咲きかけていた。
 (次に、この道を歩くのは新緑の頃かも知れないな)
 そう思いながら、いつも妻が歩く左側に眼をやった。妻がいない。振り返ると20メートルも後ろで妻は遠くを見つめて佇(たたず)んでいる。そんなことはお構(かま)いなしに先を急ごうとするオーニーを止めて、私(星野)は妻に声をかけた。
 「どうした?そこから何か見えるのか」
 植物好きだから真新しい春の植物でも見つけたのか、と思ったのだ。妻は私(星野)の声で我に返ったように、私(星野)との距離を詰(つ)めて来た。目の前まで来ると、ポツリと呟(つぶや)いた。
 「次に、あなたと散歩できるのは、いつなんでしょうかねえ」
 「遠い未来のような言い方をするね」
 妻は何度も歩いて来た農道に視線を落としたまま、何も答えない。
 「長くても、5月になれば、また歩いているよ」
 私(星野)は、そう言って前を向き、オーニーのリードを引いていた手を緩(ゆる)めた。
 「でも、全身麻酔の手術は危険だと聴いています」
 全身麻酔の手術が危険?福島医大に入局してから1度も考えたことがなかった。大学病院などの大病院では、全身麻酔の手術など日常茶飯事(にちじょうさはんじ=あたりまえ)のことといっても差支(さしつか)えない。医療関係者でもない妻が、そう思うのは仕方(しかた)がなかった。妻に限らず一般の人には、「全身麻酔は命がけの大手術」のイメージがある、のだろう。私(星野)は言葉を探して妻に言った。
 
ja.wikipedia.org/wiki/全身麻酔 - キャッシュ - 91k - このサイト内で検索
全身麻酔(ぜんしんますい、英: General anesthesia)は、麻酔方法の一つ。中枢神経に 薬物を作用させ、無痛、意識の喪失・健忘、筋弛緩、有害反射の予防、の4つを満たす 状態にすることで患者の肉体的・精神的苦痛を取り除く。局所麻酔との大きな違いは ...
 
 
 「大丈夫。私(星野)の執刀医は大学の同窓生だし、名医と云われているんだよ。腕も保障するし、失敗なんてヘマはしない、それに手術には専門の麻酔科医だっているんだから」
 「でも…」
 私(星野)は妻の反応を気にも留(と)めず、先を歩き出した。そして、5メートルも行かないうちに振り返った。妻は、また立ち止まっている。
 「私(星野)が信用できないのか?」
 「これが、あなたとの最後の散歩になるんじゃないかと思って」
 そんことはない、そんなはずはない。仕事に没頭(ぼっとう=うちこむ、集中する)することで抑え込(おさえこ)んでいた不安が、ほんの少しだけ、頭をもたげた。
 「そんなこと言うものじゃないよ。それより、この花の名前、以前、君が教えてくれたと思うんだけど」
 努めて明るく問いかけた。つは黙ったまま、脇(わき)に咲いた小さな花の前に腰を下ろした。何か呟(つぶ)いている。聞き取れないほどの小さい声だ。
 「もう1度、云ってくれないか」
 妻が、また小さな声で言う。
 「………」
 どうしても、聴きとることが出来ない。妻は微(かす)かに震(ふる)えているような気がした。私(星野)は妻の横に腰を下ろして、肩を抱いた。その瞬間、小さな水滴が地面に落ちた。1滴、2敵と地面を濡らして行く。そして妻は、肩を震わせながら大粒の涙を流して泣き始めた。あたりを気にすることなく、大きな声で。
 私(星野)には妻の肩を抱き寄せることしかできなかった。

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