「その時は、妃(わらわ)に頂戴」
「なんやそれッ![]()
、ダメダメやァああ~んッ
…痛(い)ッたァああ~ッ
…昨日から、親にも殴(ぶ)たれたことない顔を叩かれどうしやでぇ
…もう、女優になれないィいい~ッ
」






「所長(先生)は男だしィ~о(ж>▽<)y☆」
「くっそォ~、どーせ真珠を見せびらかしたいだけやろッ
!適当な喰いもんで、茶ァ濁(にご)したるさかい覚(おぼ)えとれよ…ものごっつう腹立つわァ![]()
」



「彼女は本気よ、成人病の見本市
」

「誰が“色男の見本市”やねん
寅娘Ⅱ世先生」

「なにしろ古代ローマの実力者、カエサルとアントニウスを手玉に取った女性ですから。成人病の見本市ごときが悪知恵(下手な絵)描いた処で、総て、お見通しですわ」
「ほな、どないせえっちゅうねん?ワテは少年![]()

エジプト料理なんぞ、人間20年生(や)っとるが、ただの一度も喰うたことないぞ?自慢やけど
」

「ギリシャ料理はどうでしょうか?キリ!」
「敵国の料理を供(だ)されて喜ぶ人がいると思いますか?」
「ワテ、西洋料理、大好きでっせェ~
」

「生まれた時から敗戦国(負け犬)根性、鍛えてた男(人)ですものね」
「寅娘Ⅱ世先生かて同じやないかいっ!」
「私違いますす。生まれた時から時代や国も馴染(なじ)んでましたから。
あっ、ちなみに真珠とクレオパトラには、切っても切れないエピソードがあります」
「なんや、それ
?突破口になるかも知れへんやないかい
…教え(耳打ち)したってェ~なァ~![]()
えんた~てえ~な~
」





「その態度が教える気を失(な)くさせるのよねぇ
…まっ、いっか
。


『ローマの将軍アントニウスと豪華さを競った宴会で、クレオパトラは真珠を酢(す=ヴィネガー)に溶かして飲み干した』と云うエピソードがあります」
「真珠を溶かすヴィネガー
って…そがあに強い酢なんぞ手に入りまっか!入ったとしても、そがあなもの飲ました日にゃあ、ワテは殺人犯として捕まってまうがね!

離婚で戸籍ぃ汚しとるだけに、前科・前歴で履歴まで汚したァないわい
」

「ですよね…一般的な酢の酸度は4.5度。真珠が溶けだすほどの酸度となると、10度以上はないと無理です。しかし、それほどの強い酢を飲み干すのは不可能です」
「じゃ、じゃあ、寅娘Ⅱ世先生は、『クレオパトラ(あの人)が、タレント国際政治学者みたいに、不正(インチキ)をした』って云うの?!海外出張や経費の流用なんて、表に出て来ないだけで、全員(みんな)やってることじゃない。可哀想なマッチー」
「あ、アホぬかせェーッ!ワテは天地神明に誓って無実や。
象さん時計かて経費が要(か)からんよう太陽電池(ソーラー・ドライヴ)の全自動に自腹で換えたし、特殊飲食店も特殊浴場の領収書も、総て接待費や消耗品費、それか雑費で計上(おと)しとるさかいな」
「そう…税務署の目を眩(くら)ます所長(先生)同様-いえ、おそらくアントニウスの好意の目を自分に惹(ひ)きつけるために」
「『それで愛人の座をゲットッ!した』っちゅうこっちゃな
?さっすが、お水のプロや
。太々(ふてぶて)しいにも程(ほど)があるちゅうもんやでぇ~、しっかしぃ
」



「クレオパトラ治世の世界は、油断をした途端(とたん)に寝首を掻(か)かれる、まさに策謀と裏切りの世界。謀略(それ)を生き抜き、国を守るためには、大きな権力の後ろ盾が必要だったのでしょうね…きっと、心安らぐひと時なんて…それこそ、ひと時もなかったのでしょうね」
「なんやぁ~、まんま不良(あばずれ)やないかい
…怖(こ)っわ![]()


あっ、像さん時計の発条(ぜんまい)巻き忘れてたァああ…ちぃくっと行ってくるわ」
「あっ、逃げるJO!![]()
」


「放せ、逃(はな)してくれェーっ![]()
!真珠を挿(い)れられるのも、貝(真珠)のように命(たま)取られるのもイヤやッ…!
」



「いやぁーっ、髪(これ)はなんぞ?!」
「髪(これ)はね、『パンチ・パーマ』と云ってね。粋(いき)で優しくて力持ち。そして東京で3代続いた生粋(きっすい)の江戸っ子だけに似合う、最高のモテ道具なんだよ、クレオパトラ(お嬢ちゃん)」
「モテ道具ゥ~…」
「クレオパトラ様、よろしければ麦酒(こちら)如何(いかが)でしょうか。厚木の山奥で違法ながら古代の麦酒(ビール)を、コッソリと作り始めた『オッキー酒造』が、あてつけがましく送って来た“材料と製法にこだわった古代エジプトビール”で御座います」
「いただくわ…」
「か、髪をグャグシャに乱してから行くんじゃない
。こんのぉ~、すっとこどっこいっ
!」


「懐かしい香りだわ…美味しい。
アニの教訓(エジプト考古学博物館蔵)にね、『ビールを飲み過ぎるな。酔っ払いは出て行け』と書いてあるぐらい、アルコール度数が高いのに飲み易いのよ。
牛乳風呂に入りながらミード(蜂蜜酒)を嗜(の)むのも好いが、気兼ねなく楽しむには麦酒(これ)が一番だわ…美味しい!
しかし、珍しきものが多いものよな、保育所(ここ)は。成人病勧告された責任者に、運動不足な経営者。運動嫌いな代表者と大食漢な運営者…全部一緒か。
でも、こんな楽しい施設(とこ)なら存外(ぞんがい)、幽閉生活も楽しい暮(もの)であろうな…」
「お妃様は、その美貌ゆえ『次々に男を手玉に取って来た』と伝承(い)われて参りましたが、その人生は敗北と裏切りの連続でしたね」
「よく知っておるな…初めは古代ローマの実力者、ポンペイウスの力を借りようと思ったのだが、カエサルに敢(あ)え無く討ち取られてしまいおった。
ならばカエサルの気を惹(ひ)こうと思ったのだが、馬鹿な男だ。自分の腹心に暗殺されおった。次に狙ったアントニウスもオクタヴィアヌスに命を奪われ…」
「その結果…アレキサンドリアに幽閉され…そして…」
「そして?寅娘(おまえ)は、そこまで知っておるのか…」
「…お妃様にとっての賭け事は、いつも祖国(くに)を守る命懸けの闘い、そのものだったのですね…可哀想(かわいそう)に」
「同情するなら権力(ちから)をくれ。列国(つわもの)どもと互角に戦えるだけの筋肉(からだ)と権力をくれ!そうすれば、誰かに頼ることなく、自由に我が人生(道)を歩めたのに…口惜しい…実に、口惜しい。
もしも妃(わらわ)が死んで、忌み嫌われる毒蛇に身を起(やつ)つしたとしても、自由を奪われた恨みだけは忘れはせぬぞ…」
「アホンだら~![]()
綺麗な貌(顔)して、何ほざいとんねん
どついてまうぞ![]()
![]()





ツライ過去なら縋(しが)み付かずに忘れてまえばエエやん。
ほり、ワテの夜食用、大辛唐辛子いりのカップ麺と冷(ちべ)たいガリガリくんや。騙された思うて食べたみなはれ。驚天動地の斬新な味わいに、ビックらこいた目ん玉が戻って来んの忘れるぐらい感動しまっせェええ~ッ」
「こんな、犬のエ…好い匂いじゃな…少々、湯気(けむり)が目に沁みるがのう…そこの百貫デブ、何を唸(うな)っておるのじゃ?騒々しい」
「J。Ⅾ.サウザーも『オールウエイズ』でカヴァーしとった、プラターズの“煙が目にしみる”でんがな。騒(うる)さかったらやめとかこ?」
Smoke Gets In Your Eyes / 煙が目にしみる [日本語訳付き ... - YouTube
「かまわん。一度はじめた事を、軽々しく撤回するな。みっともない。あっ、いくら『新譜を製作中だから』と云って、調子に乗って“にっぱち”全曲集だけは演(いた)すでないぞ…
かっ、からいィいいーっ!」