これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。
実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。
P.171 なぜ老化するのか?
老化のメカニズムについては(2012年現在では)諸説(しょせつ=多くの理由)あり、昔から対立の激しい分野です。
世の全ての学説は進化し、一時は正しいと解釈されたものでも、必ず書き直されるか、何かを書き加えられる運命にあります。
老化のメカニズムについては古くから基本的に二つの学説、つまりプログラム説と 擦り切れ説が対立してきました。二つの基本学説のそれぞれにいろいろなバリエーション がありますが、概念的には(形式的には)この二つに分類できるでしょう。老化の進化 学説( ...
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- ①はじめに - ②個体老化と細胞老化 - ③カロリー制限と活性酸素 - ④遺伝的メカニズム
私(高須克弥)は、老化とは体を作り上げている細胞の能力が衰える現象だと考えています。肉体は無数の細胞が集まって構成されています。一つ一つの細胞は、さかんに体細胞分裂を繰り返して、新旧交代を図(はか)り、肉体を維持していますが、ある年齢に達すると、細胞の再生能力が低下して、再生までに時間を要するようになります。
実際に臨床で確かめたところ、生き残っている細胞数が減ったうえ、細胞が新旧交代するまでの分裂回数も若い時よりも減っていることが判(わか)ったのです。
この事実は1960年代前半に米スタンフォード大学のレオナルド・ヘイフリック教授が実験で確かめました。
ヘイフリック教授は、胎児(たいじ)の各器官の細胞と大人の各細胞をシャーレ(容器)に入れ、培養液(ばいとうえき)を加えて適温を保ちながら培養しました。すると、細胞の増殖速度や栄養の要求状態は胎児も大人も細胞も、ほぼ変わらないのに、細胞が死滅するまでの分裂回数に大きな差が確認できたのです。
胎児の細胞は、再生してから死滅するまでに約50回の分裂をしましたが、大人の細胞は、約20回の分裂で死滅してしまったのです。
つまり胎児と大人では、細胞の寿命に差があり、大人の方が胎児よりも寿命が短いということが証明されたわけです。
一つ一つの細胞の活動力が衰えて細胞数そのものが減少してしまう。これが老化という現象を引き起こすのだと考えられます。
ではなぜ、細胞の能力は、一定の年齢に達すると低下して死滅するようになるのか。そして、それを防ぐことが出来ないのでしょうか。
細胞が死滅する原因について、(2012年の)現時点での有力な仮説が2つ、あります。「プログラム説」と「細胞の突然変異説」です。
テロメアは細胞分裂の度に短くなることから、このプログラム説の機構を行う部分である とされる。 この説における解決法としては ... エラー説[編集]. 細胞分裂の際に少しずつ 発生する突然変異が、徐々に蓄積されていき、最終的に破綻するのではないかという説 。
老化の基礎∼各種学説∼
(Adobe PDF) - htmlで見るhome.hiroshima-u.ac.jp/katachan/gekakei7.pdf - このサイト内で検索
(4)突然変異説(LSzilard,1956; H.Curtis,1964). (5)エラー破綻 ... 活性酸素の主な 発生源は細胞内小器官ミトコンドリア(主な細胞のエネルギー産生工場)で、酸素を使っ て栄養素(糖、 .... これが老化の原因となっているというのが老化プログラム説である。
「プログラム説」は、もともと遺伝子(いでんし)に細胞分裂の回数が設定されており、プリペイドカードを使い尽くすように寿命が使い果たされるのが老化と死だ、と説明します。染色体(せんしょくたい)の末端部にあるテロメアが細胞分裂のたびに短くなることから、これがプログラムの鍵(カギ)ではないか、と考えられています。
遺伝子(いでんし)は生物の遺伝情報を担う主要因子であると考えられている。全ての 生物でDNAを媒体として、その塩基配列にコードされている。ただし、RNAウイルスでは RNA配列にコードされている。
一方で「細胞の突然変異説」は、細胞分裂の際に少しずつ発生する突然変異が徐々に蓄積されて破綻(はたん=こわれる)する、という説です。突然変異説とは何らかの理由―たとえば核(かく)エネルギーの放射線(実は太陽光線などの自然の放射線も原因の1つとされています)や薬などの化学物質・病気などの複合的な刺激によって、細胞の中のDNAが損傷を受け、異常が発生することを指(さ)します。
太陽放射(たいようほうしゃ)とは、太陽が出す放射エネルギーのこと。日射とも呼ばれる 。特に電磁波の放射を指すことが多い。太陽放射のスペクトルから、太陽の黒体放射 温度は約5800 Kと見積もられる。太陽放射の約半分は電磁スペクトルでいう可視...
体細胞分裂は、もとの特質を受け継いだまま2つに分裂を繰り返して行きます。細胞は、この突然変異による損傷を受け継(うけつ)ぎながら増殖して行きますから、全体としての細胞の能力がポンコツ化して、低下して数が減少する。最終的には分裂再生することもできなくなり死に至る、と説明されています。
(2012年)現在、それぞれの説を唱(とな)える学者が論争していますが、私(高須)は双方とも正しいと考えています。廊下をもたらす細胞の変化には、病的なものと正常なものとがあり、正常な老化が「プログラム説」で、病的な老化が「突然変異説」というだけの話です。陰と陽の両面からアプローチ(手がけて)しているだけで、矛盾(むじゅん)しませんし、いずれの説でもシステムの最終章は同じです。
そして、このシステム自体が個々の人間ではなく、人類という種(しゅ)を永続させるための新陳代謝(しんちんたいしゃ)だと考えると、なかなか優(すぐ)れています。老人である私(高須)のことを、垢(あか)かフケのような存在だと考えてくださると判りやすいでしょう。
いつまでも老人たちがゾンビのように生き残っていたら、限りなく増える人口で人類そのものが自壊(じかい=じめつ)してしまうに決まっています。
とはいえ、個々の人間が長らく健康でありたいというのも、人間としての本能です。正常な老化現象を受け入れるべき自然界の法則でしょうが、病的な原因で引き起こされる老化現象で死んでしまうことは、残高のあるプリペイドカード(先払い式のカード)を事故でダメにしてしまうようなもの。美味しく食べ・楽しく酒を飲み・若々しい顔つきで、事故なく最後まで人生という舞台で演技できたなら、幕引(まくひ)きも満足すべきものになるに違いありません。